大事にされなかった生き方、大切に守られる女

世間のどこにでもある女の人生、泣き笑いしながらのそれを書く

随筆、詩を書こうと思います。
大事にされなかった人生、大切に守られているいまの人生、明日はわからないけれど、それを書くこの作品は残そうと思います。

随筆「薄夜」

           


            妻の、心と脳
妻の寝る部屋から鳥の囀りがしている。音はYoutubeのチャンネルから流れてきている。24時間これをやっている。眠っている妻も聴いているのだろうか。目をあけていれば大型画面に北海道・十勝平野の、妻の好きな虫類の自然もみられるのに、昼からいまも眠っている。いつになればベットから起き上がるのかわからない。危険な眠りである。私はこれを長い首吊りとよんでいる。
三日目に入ると、その先に命の危険をいだく。五日目になると救急車の準備をして置く。何年か前に一度だけ救急搬送をさせたことがあった。このときはもう駄目かと思った。


いま毎日のようにやっている失神も危険である。脳の即死があるか頭部をうちそれに似た重大事へと発展するこれが起きても不思議でない。意識を失くし倒れている妻の生死を確認するのはいつもの事である。こんな近くに死があるとは、しかも大事な人のそれ、思えば小学生のとき人生をここからスタートさせていた。


神経伝達や血の流れなどは生物科学の問題であるが、妻の脳を動かすそれらとは違う心の要素に気を使い、YOUTUBEの自然風景や音楽をながさせているのだが効果はないようである。妻はすべてに熱中しない。花を作らせているときは植物図鑑などを大量に集めすごい知識でベランダにあった植物の説明をしてくれた。これも時期がくるとやめる。いま縫いぐるみを部屋いっばいに並べているがすぐに見向きもしない。心や脳が動いていてもそうなる。亭主である私に興味をもった、これもいつの事かわからないほどだ。


生甲斐という簡単な言葉がある。脳や心が動いてもそれが妻に出てこない。頭のいい上品な妻なのだが、そんな素質をどこで磨いたのかもわからない。知性にもすごい物があるが妻は中学出で小学校もろくに通学していない。この知性なんかに大学にいかないと身に付かないそれもある。どうなっているのか知らんが、この頭脳は死にそうな失神や危険な眠りもやる。私の脳より上品なのは間違いないが、ほかはまったくわからん。

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