大事にされなかった生き方、大切に守られる女

世間のどこにでもある女の人生、泣き笑いしながらのそれを書く

随筆、詩を書こうと思います。
大事にされなかった人生、大切に守られているいまの人生、明日はわからないけれど、それを書くこの作品は残そうと思います。

随筆「薄夜」

        生活と生存  その四
大家の手紙に仲介屋のアドバイスがみえる。これの姿形も知らんからこれにポロアパートの様子などわかる筈もない。まあ、好きに幼稚な因縁をつけてくればよい。
「おい、もっといっぱい因縁を書いてこいや」
私はこう書いてやった。
「バカめ、退去命令とは、大家かなんか知らんがなにを思いあがっているのだ、バカが、タダで住んでいるのではない」
こうも、したためた。
退去命令と、バカがやっている。判決文や仮執行でもあるまいにあほらしい。
出て行けという理由を示せと私が書いて出したから、その手紙に書いてある。3と4に玄関の張り紙にチャイムを鳴らすなとある。これが怖いと書いてきた。物件の案内もできんらしい。くだらん能書きである。怖いのは、私のことだろう。そう言えばいいのだ。そしたら、私は、その理由を書いてみろと言う。これも漫画になるだろう。
私はきびしい道を歩いてきた。だから怖く見えるのは当たり前かもしれない。しかし、大事な妻ができ静かな日々を送っている。妻を守るため、それの身にかかる火の粉がない限り無用な殺気は放たない。
玄関に張り紙しているのはセールスたちがしつこくチャイムを鳴らし妻の脳がそれに反応するからだ。精神二級の手帳は飾りで支給されたものでない。命がけの生活を夫婦でやっているのだ。しかしその運命は他人には関係がない。以前のアパートでキチガイのようにチャイムを鳴らしたものがいた。そのバカを殺そうとしたのを憶えている。蹴り上げたのでおびえそれでやめた。だれもこのギリギリの生き方を邪魔してはいけない。


バカ大家に再契約に来いと通達しているがどうするか好きにすればよい。ただ、このボロアパートは狂人と同居する危険な場所にちがいない。この際、安全なところに引っ越すのが得策であろう。前のアパートのようにキチガイを殺そうとした、あんなことはもうやりたくない。生きる欲もうすい夫婦なのに日々はただ静かさをのぞむ。そうなってくれれば良いと思うが、人間が生きるのは残酷なものかもしれない。
                                 終わり

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