大事にされなかった生き方、大切に守られる女

世間のどこにでもある女の人生、泣き笑いしながらのそれを書く

随筆、詩を書こうと思います。
大事にされなかった人生、大切に守られているいまの人生、明日はわからないけれど、それを書くこの作品は残そうと思います。

随筆「薄夜」

          別離(終わり)
終わりがみえるから熱くなったのではない。われわれは意味があって愛し合った。妻は離婚もあり、その後、男たちとの人生に疲れ切っていた。私は女性たちと別離ばかり繰り返しどの人も大切にできなかった。うまくいかない者同士が偶然にめぐり逢った。それは熱いものではなかった。雪道を歩き疲れ寒さにふるえ人と出会った。そんなものである。


「パパと会えなかったら、帯広で死んでいた」
これは妻が東京でいった言葉である。
私は返す。
「おい、おれは悪運がつよい」
「どうして」
「いままで、こんな暮らしがやれんかった」
「そうなの」
「明美がくれた」


去年は、私が死ぬところだった。救急車のなかで妻に別れを告げた。泣きそうになりながら妻はそばにきた。言葉はなかったが握ってくれた手は私に別離を告げていた。


二人はようやく愛し合うことを手に入れたのに、それに別れの条件が付いていたとは、私だけが知っていたことだろうか。

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