大事にされなかった生き方、大切に守られる女

世間のどこにでもある女の人生、泣き笑いしながらのそれを書く

随筆、詩を書こうと思います。
大事にされなかった人生、大切に守られているいまの人生、明日はわからないけれど、それを書くこの作品は残そうと思います。

随筆「薄夜」

       孤児
(キラキラときらめく冬海は四年の歳月を映し出すかのように眩しい)
これは随筆「冬海]にのせたある文章の末尾である。
この妻とそのごに別れた。書いているときにそれを知っていたのかもしれない。


一つの別れを知った。娘のそれである。男とは私の母が死んだ土地にある墓地まで訪ねたという。本籍地のそれまで行ったらしい。なにを見に行ったのかしらないが、私も妻をつれ行ったことがある。私も妻の三重にあるそこを訪ねたことがある。
私はその墓石に(幸せにしますから)と言ったかもしれない。なんの言い訳もないからそれもできなかった。


墓に手をあわせたときに妻のお母さんの顔がうかんできた。母が娘の幸福を願うのはふたりまえである。私はお母さんにわかっていますと言った。心をこめそう思ったのに別れはあった。いまも三重湾からの光が照るあの墓地がでてくる。
あの裏切りは消えない。


人と人は別れてはならない。墓石にもそんなのは刻んでない。あれは母が子に伝える伝言板のようなものだ。
私なんかはそこに立ってもなんの声も聞こえないだろう。これでは孤児のようなものだ。

×

非ログインユーザーとして返信する